Sunday, November 22, 2009

68 仕事さがしも楽じゃない

 いまだから言える就職活動日記。
 ロンドンで仕事さがしするはめになるとは思ってはいませんでしたが、恥をしのんでしたためましょう。第一回目の失業中、友人にぐちぐち言ってたら「それ、おもしろいからぜひエッセイにして」と言うので。
 こちらにも職業安定所というものがありまして、その名もジョブセンタープラスと言います。*GPといっしょで住んでるところで決まるのですが、登録をしたら2週間毎にサインをしに行って失業給付金をもらいます。失業給付金と言っても週に57ポンド(当時・約13000円)ほどです。生活するのに必要なお金 Living Allowance っていうことですね。これだけじゃ食費にもならん、もちろん贅沢もできませんが、まあゼロよりましか。そら、贅沢したかったら仕事見つけなさい、って言うことよね。そら仰せの通りでごじゃりますけど。
 ジョブセンターってのが、政府の機関ですし、期待したらいけませんが、ほんとお役所。初めて登録に行ったとき、偏見じゃないが、黒人スタッフが多いのにびっくり。当時はロンドン北東のアーチウェイってとこにいたんです。登録に行くと尋問のようにあれこれ聞かれました。わたしはそら、見ても外国人ですし。「家族がいるのか」、「家があるのか」でっかいこわもての黒人のおじちゃんに、あれこれ、うんぬん聞かれ、全部ノーだと「ここで働きたいのか」まるで(そんなにしてまでここで働きたいの?)って感じ。悪いか!
 そうやって登録したのに、すぐに1ヶ月ほど日本に帰ったので、サインしに来れないから給付金がもらえなくなりました。戻ってきたらまた登録のしなおし。再登録に出向いたら、だれもいない机のところに座らされ、待つことしばし。やっと来た係員は「なに?なんでこんなところに座ってんの」って感じ。またいちから説明して、諮問表みたいなのをバサッと渡され、コンピュータでちゃかちゃか、と。次のインタビュー、いついつ、この日に来るように。で終わり。諮問表、ここで書かなくていいから、今度来るときに書いて持ってきて、だって。あんなに待ったのに、はよ帰れって感じ。
 で、2週間ほどたって、アポの日に行きますと「ID は?」だって??? ID=パスポートを見せろと言うのです。そんなん、持って来いって言われなかったよぉ。「住所確認の書類は?」それも聞いてないよぉ。だいいち、日本に帰る前に初めて手続きしたときに出したよ。それからそんなに日もたっていないのに。でもだめ。このフートにコピーを入れて送って頂戴。ID と住所確認の請求書類が要るのよ。その度に「聞いてない!言われてないから持ってきてない、なんで前に言ってくれないの」と無駄な抵抗を繰り返すが柳に腕押しの構え。
 持ってきた諮問表をチェックし、最寄の郵便局欄をブランクにしていたので、どこの郵便局で受け取るの?と聞かれる。給付を受けるのに普通は銀行の口座に振り込まれるが、それがない場合、郵便局での受け取りとなるので、郵便局の詳細を書くようになっています。銀行口座を書けば必要ないと思っていたのでその欄はブランクにしていたのです。「もし何か問題があったら困るから郵便局の詳細もいるのよ」だって。前回銀行口座で受け取りしてんだから。何が問題なん?口座も変わってないんだから。それでもいるって。ようわからん。ここから禅問答のような展開。
「郵便局の住所は?」郵便局の住所?郵便局の住所なんて知らないわよ。「いちばん住まいに近い郵便局の住所」ハイゲートにある、あれかなあ。「郵便局の住所は?」郵便局の住所なんて、あなた、覚えてるの??と聞いてやりたかったが口に出しては言えない。彼女はリストを見ながら「郵便局の住所」としか言わない。 
 おそらくハイゲート・ハイロードだと思う、と言うと、そんなのないわよ、とリストから目を離さずに言う。そのリストをのぞき見るとハイゲート・ハイストリートと書いてある!あ、そうか、ロードじゃなくストリート。そのくらい、わかってよ!ハイゲート・ハイストリート。推測したれよ。で、やっと尋問が済み、終わったと思ったらまた別の係員のいる処へ行き、机の前に座って待つ。コンピュータにデータを打ち込みながらその女性にこんなに長い間(2ヶ月間)なぜ仕事してないのか、とか言われます。はい、希望の職種は?かちゃ。希望時間帯は?かちゃ。休日出勤できる?残業は?かちゃかちゃ。あのぉ、今のうちに(トレイニング)コースにも行きたいのですけど、と言うと「行ったら教えて頂戴」終わり!どうやって見つけたら。。。「行ったら教えて頂戴」終わり!多分、わたしがどこそこのコースに行った、と言うとそれを打ち込むんだな、かちゃとコンピュータに。打ち込むだけが仕事かい。
 管轄のパンフレットの文句「ジョブセンタープラスの使命」「貴殿が仕事を見つけるお手伝いをします」「貴殿が仕事に戻れるお手伝いをします」書いてあるだけかい!
 1週間ほどテンプの仕事をしたので、申告せねばなりません。たった1週間だし、それがずっと続く仕事でもなかったのに「支給を打ち切る」って。だって、これがパーマネントの仕事じゃないんだもの、なんで?書類に書いて出さねばなりません。その前に所内にある無料電話で中央局まで電話して事情を説明してください。かけるもかけるも、録音の案内がえんえん続くだけで、人間がでてきません。もしくは話中になる。話中になるとまた一からかけなおさないといけない。15回くらいトライしたかなあ。無料電話やからええけどさ。いや、だからええってことはなかろう。時間にして約30分。わたしは次に約束があって、えんえんこれ、やってられないんだけれど。選択のオプションは3つあって、わたしは「1」を選ばねばならぬのだが埒があかないので「2」と「3」もやってみる。「2」は同じで話中。お「3」でやっとつながった!ひとがでたよ。喜びいさんで事情を説明したのに「その用件は1に電話しなおして」だって。やっとつながったと思ったのにぃ、まわしてくれへんのか?ほかに担当者はおれへんのか、って感じ。またえんえん話中、かけなおし、話中、かけなおし、話中の繰り返し。あげく、アポの時間が迫っているので、明日にしよう、と出直すことに。翌日もまあ、似たような状況。しかし我慢大会と試されてるのかも、なんて思いながら単純作業を繰り返していたら、やっとつながった。出てきたひとはえらいスコットランドなまりで(中央局はグラスゴーにある)何を言っているのかいまひとつよぉわからんかったが、とどのつまりは、今いるところで書類をもらえって。え~っ?だったら昨日そう言ってよ。わたしのこの2日間は何だったの?!これぞ究極のお役所仕事やん。
  ほんでもってとどめオチまであり。時間費やし書類を説明して出したにもかかわらず結局支給は打ち切られましたわ。仕事がそのあと見つかったからええけどさ。なんのためのジョブセンターやねん。支給打ち切りするのが仕事なんかい、ってすごみたくなるわ。
 もう二度とジョブセンターのお世話にはなりたくない、と失業者に思わせるっつう意味で、この役所の存在価値はあるのかもしれませんな。


 <筆者注釈>
*GP=General Practitioner  ホームドクター。国の保険機関 NHS で指定された自分の住まいに近い診療所の医者が担当となる。引越しした場合は引越し先で新たに登録しなおす必要がある。
**これをしたためていた間にまたもや失業し、引越しもしたので今度は違う区のジョブセンターに行くはめになりました。2つめ。またネタ増えるかと思っておりましたが、今度のところはとっても親切でありました。ここなら長く通ってもいいわ?なんて思っていたけど、今度は2ヶ月足らずでまた仕事が見つかり、ほどなく行かなくてすみました。

(失業活動してたのは2006年3月~9月と2回目が2007年6月~9月です)辞めては日本にひとつきほど一時帰国し、また探すというのを2回やりました。


 おかげでなけなしの貯金もそこをつき、また貯めねば。人生プラスマイナス平等だと思うのは金持ちにもなれず、ホームレスになることもなく、ま、分相応なんでしょうな。
 この不況で3回目はやりとうない。が本心です。
 新年早々しょぼい話題ですんません。
 今回はビジュアルにも色気もなく。。。白黒で?????


2009年1月16日          
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..…..January, 2009

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