Sunday, November 22, 2009

59 意味あるおいしさ、イギリス料理番組

 イギリス料理は存在せず、イギリスの食べ物はろくなものがない、という定説がありますが、テレビの料理関連の番組は多いです。それもただ、作り方を紹介する、のではなく、いろんなコンセプトがからんでおります。
 BBC2 で先日までやってた「Nigella Express」。カリスマ美人女性料理研究家ナイジェラ・ローソン。長い髪をまとめもせず、主婦感覚で、仕事しながら素早く美味しくできるカンタンレシピ(わたしの料理みたいや?)の紹介。拝見したところによると、レモンの皮をおろして使うのと、煮込みの料理が多いような。。。ねぎ(サラダオニオン、とエゲレスでは言う)や和食の材料もお好きなよう。真似してさっそくやってみよう、という気になります。「素早く」というところがミソなので、できあいの食材を一部使うところも。コスト的にどうなんかねえ、とついビンボー根性で口出ししてしまいそうになります。いくつかやってみましたが、確かに簡単でおいしい。自宅で料理してます、という設定で、素敵なキッチンを覗き見している気分。それこそ世界のいろんな食材・材料、調味料なんかがパントリーと言う倉庫に入れてあるの。冷蔵庫も冷凍庫も食材ぎっしり。ねぎなんて料理バサミでちょきちょき、なんて切っちゃって、実在感があるのか、離れた世界なんか、ようわからんですが、楽しい番組です。終わっちゃったと思ったらまた始まるみたいで、乞うご期待。これが始まるとペンを片手にレセピをメモるのに忙しい、忙しい。BBC のウエブでもレセピが見れるのですけどね。
<割り込み> http://www.bbc.co.uk/food/ から search でNigella Express にいく
 チャンネル4では Jamie Oliver。でました。ひさびさ「裸の大将、ならぬ、はだかのシェフ」。自宅のキッチンで、庭の野菜やハーブを使ってつくりつけのかまどから料理です。いいなあ、大きくて、かまどまである(バーベキューセットじゃないよ!)庭で。彼の料理も簡単で、一見フツーで誰でも出来そうなのに、どこかちょっとプロっぽいひねりがあって、うん、なかなか、とうなずけるレシピが多いです。
 この番組のあと、「Cook Yourself Thin」という、スリムになるための番組。ダイエットグルメのレシピをドキュメンタリ風に紹介する番組だったのですが、それも終わってしまい、残念。同じおいしさで、いかにカロリーをカットするか、というもので実務的。
 BBC2 のThe Restaurant。これけっこうファンでした。ミシュランの星を持つ、オックスフォードのマナーハウス「マノワール・キャトル・セゾン」を運営するフランス人シェフのレイモン・ブランが自分の店を出したいという夢を持つ9組のカップルにレストラン経営をさせ、テーマ別試練を毎週与えて最終的にひとつのレストランに絞る、というお試しビジネスヴェンチャー番組。レイモンのお抱えインスペクターが各店を視察に行って評価するという。みな玄人じゃなく、半素人だからなのか、手順が悪いだの、インスペクターにわざわざ黒焦げのトーストだしたり、だの、レイモン(いわゆるボス)の指示を無視する、だの、イギリス的っちゃあ、イギリス的であります。料理のレシピがどうの、というより、レストラン経営のための経過やマネージメントの問題を捉えていて、けっこう面白いドキュメンタリーでした(やらせかもしれんけど)。
 参加者のひと組、ガーナ料理の店がポートベロ・マーケットで屋台してるの見ました。「あの、テレビ番組で紹介された」というたれ幕のもと、露天屋台でテイクアウェイを売ってました。商魂たくましいよなあ。道行くひとも「あ、これ、テレビに出てた、きっとおいしいよこれ」なんて列に並ぶ始末。メディアの宣伝力ってすごいなあ。しかし、番組はまだ続いているのに、こんなとこで油売ってて(いや料理売ってて)いいの?もしくはすでにこの店はコンテストに勝てずに閉鎖されたのか(結局録音後だったんだと思うけど、この店は優勝ならず)?
 ある週のテーマはレイモンが好きな「うなぎ」がテーマ。この食材を使って新メニューを考え、売上をあげるというのが課題。生けのうなぎが業者から運ばれシェフたちは<割き方>まで専門家に手ほどきを受けるのですが、このイギリス人には不慣れな食材にみな大騒ぎ。ある組の奥さんなんか「気持ち悪い」と見てられないの。レストランに来たお客さんにまで「生きてたのよ、こうやって動くし、気持ち悪いし、すごいのよね」なんて、おいおい、きみ、挑戦者としてこれはテーマなんだから、うなぎメユーを勧めて売らないといけないのにそんなこと言ったらお客さん、うなぎ食べないぜよ。
 見てるといろんなヒントが考えられて意味深い。ふたごの姉妹はなかなかやり手で、売り上げ促進のためにウエイトレスのセールス No 1 にはマニュキアの無料券をご褒美として提供してセールス力を鼓舞したり、とか。アイデアで勝負、って感じでした。安全圏で勝負してる、とレイモンのインスペクターには批判されてましたが。いいと思っててもそうか、プロにはそういうふうに批判されるのか、とか。
 ITV1 は定番 Hell's Kitchen。これも終わってしまいましたが、F*ワードシェフ ゴードン・ラムジーに並ぶ双璧マルコ・ピエール・ホワイトが今回シェフ。ロンドン市内だけでも十指に余るレストランチェーンを展開しておる有名人フレンチシェフですが、どうなんだろ。飾り付けはいつも同じようだし、ケチャップをよく使うし、なんかあまりおいしそうでも高級そうでもないんだけどね。見てても。いつぞやマスコミのインタビューで「おいしさの秘訣は?」と聞かれて「クノールのチキンブイヨンを使うことだよ」と言ったひとだからなあ。それにフレンチのくせにメニューが「シェパーズ・パイ」とか「フィッシュ・パイ」ってど~いうこと?
 番組は男女の俳優や歌手などの有名人を挑戦者に集めて特設レストラン Hell's Kitchen に来るお客さんに料理を出すのを競うというセレブ対決という内容。視聴者投票も入り、優勝者を競うというしくみです。料理したことないわけではないんだろうが、さかなをさばいたり、鶏をさばく場合に内臓を出したりするのに悲鳴をあげる挑戦者もいます。まあ、気持ちいいもんでもないけど。料理しにきとんだろが、っておばさんしたくなるよね。まあ、真剣に見ずに娯楽番組と思って見ればいいのだ。
 このシェフ、最近サッカーのチェルシーの本拠地、スタンフォード・スタジアムの中のレストランをオープンしたのですよ。その名も「マルコ」。評判や、いかに。
 新しい料理番組が次から次へと展開されるイギリスのテレビ・今日この頃です。


2007年11月17日              
© Mizuho Kubo , All rights reserved….. November, 2007


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