Friday, April 23, 2010

95 緊急レポート アイスランドの火山が噴火するとヨーロッパの空港が閉まる

表紙は内容に関係ござんせん

 風が吹くと桶屋がもうかる、っていう落語みたいな記事ができました。
 落語をここで始めるわけではないのですがアイスランドの火山が噴火する→火山灰が空中に舞う→イギリス、北欧上空の30000フィートの飛行機走行範囲に上がる→飛行機が灰雲を通過する→エンジンに細かい灰がはいりこみ、エンジンに支障がきたす→飛行停止、エアスペースの閉鎖→ヨーロッパの空港が閉まるのです。
 4月15日、突然、ヒースロー空港がお昼12時より閉鎖されるというニュースが。会社に行ったわたしは、朝片付けないといけないことがたくさんあり、忙しくメールの処理をしておりました。いつも冗談ばっかり言うボスがきて、君は世間にいま行っていることを把握してるか?なんて、言うので?へ?知らん、と言うと、アイスランドの火山が噴火して、スコットランドの空港が全部閉鎖され、フライトキャンセルとなり、飛行機が飛ばないといいます。お昼からヒースローも閉鎖。火山が噴火したらなんで飛行機が飛ばないか、というと、火山灰はすごい細かい岩と灰の粉のようなものなのですが、それが飛行機のエンジンに入り込み溶けて、故障の原因になるというのです。
 30000フィート上空にまであがった火山灰の雲(Ash Cloud と言ってます)の中を飛行機が通過するとエンジンに支障をきたし、安全面から問題があるので、飛ばさないと。その雲がまずスコットランドに到達し、イギリス全土に来る。風向きからアイスランドの東南に向かっている、すなわちイギリスと北欧諸国の上空。

 このアイスランドの覚えられない長い名前の火山、実は3月20日から噴火しているというのです。今まで話題のひと(いや、山)にならなかったのは灰を出してなかったのと、風向きが別にヨーロッパ大陸に及ぼさなかったからで、知らなかった。ついぞ。しかも、200年前にはもっとすごかったらしく。。。ま、そのころはわたしも生きてなかったし、まだ飛行機もなかっただろうし。その体験をしたひとは今生きてないし。

 ニュースを BBC のウエブサイトから写真に撮って入れてみました。
 こんなことしてええんか、と思うけど、絵がないとさみしいしぃ。


新しい単語がいっぱいでてきたわ。
Civil Aviation Authority  (CAA) とか、 NATs =National Air Traffic Services とか。
Met Office これは気象庁かな。Dr Volcano まででてきたけど。

 飛行機が飛ばなくて喜んでいるひともいます。空港沿線の騒音公害住民たち。リッチモンドに住む住民のインタビューしていました。窓をあけて騒音がしないというのは素晴らしいって。しかし、そうね、世界でも最も忙しいといわれるヒースロー空港ですから。

 しかし、全く空に飛行機が見えないというのもおもしろいっつうか。ここは比較的ヒースロー空港に近いので、よく飛行機を見かけます。考えなかったけど、まったく飛行機が空になかったんだあ。この6日間。
 あ、なんか飛んでる、と思ったら鳥でした。鳥だ、飛行機だ、スーパーマンだぁ、ってのあったけど。鳥だいや、スーパーマンだ、だけだと、??って感じよね。確かに。

 この前の土曜日(4月17日)は雲ひとつない青い空で、完璧、晴天でした。日曜日は少し雲があったものの、この青い空の上のどこに火山灰雲があるのか、不思議。

 タウンホールを望み
 




こういう灰の動きマップもどうやってわかるんか?不思議。


 

 飛行機会社も何日も飛べないんじゃ、倒産の危機。飛ばさないと一日で130ミリオンポンドの損と言っておったから、円高のきょうびでも、円に換算して2億くらいかなあ。ま、わたしの給料に比べたらたいしたことないけど(多すぎてわからんっつう意味)。
 イースターの休暇・海外旅行から帰ってこれない、学校の先生たちや生徒たち。陸路を使うしかないけど、大陸はけっこう広いです。
 ミラノからパリまででも列車で8時間かかるのよねぇ。お客さん、カンタンに、ストックホルムからドイツのフランクフルトに行きたいんです!なんて言うけど、時間かかるのよぉ。ますますヨーロッパの地理に詳しくなったわ。

 イギリス政府は海軍を出して、海外にとどまって帰ってこれないイギリス人たちを助けに行く、というが。。。結局定員オーバーで全員は乗れなかった模様。

 列車もユーロスター、フェリーも増便しても、長蛇の列。

 火山灰の人体に及ぼす影響
 ちょっと心配やけど、ほとんど影響ないって。人体って、飛行機より強いのね?
 イギリスの空港が閉鎖しているなか、やっとヨーロッパの北側だけ、オープンして、初のフライトがアイスランド行き、ってちょっと皮肉やなあ、ってニュースでも言ってました。


 おかげで火山についてはちょっと詳しくなったで。
-なぜ、火山が噴火するのか?
-地球のしくみ  マグマとマントル
-世界の火山。種類別


 しかし、今噴火してる「名前ぜったいいつまでも覚えられん」火山、これは小さい方でもっと大きいのがくる、とか。。ひょ~。

 自然はこわい。自然はすごい。
 飛行機止めちゃうんだよねえ。


 火山にフタをする
 巨大扇風機をつくって灰をどっかへ拡散する

 落語か冗談のように聞こえるが、本気でどっちかやってほしいと思ったわ。木曜日から翌火曜日までの6日間。いつもは土・日休みのお気楽ビジネストラベルのわたしたちだが、同僚は2人、この週末緊急事態で出社して対応していました。航空会社のひとたちもすっごいプレッシャーと責任で大変だったと思います。しかし、オープンしたらオープンしたでこれまた大変やろうと思う。ひとと飛行機の席状態、パズルあわせ。

 週末も泣かず、飛ばず。家でウエブとずっとにらめっこするも、開くきざしなし。月曜日会社に行くのがいやだったけど、まだ飛ばず。はじめは待てばいいと思っていた出張者たちも次第に動きだしました。もちろん、陸路で。イタリアやフランスにいたひとたちはまだいい。しかし、ロシアとか、北欧、インド、アメリカだと、陸路で帰ってこれないよなあ。日本からの出張者で北欧の方にいたひとはどんどん南下してきて、とにかくウィーンでも、ローマでもマドリッドでもどっからでもいいので出してください!やて。それでも空席がない。
 火曜日も飛ばず。帰ってこれないひとたちは文句言う、空港で夜をあかすしかない人たちも。
 ヨーロッパの航空会社がテスト飛行をして、BA も日曜日に出しました。それでも開かず。風向きが変わってきた、というのと、飛んでも大丈夫だろうという意見と。スコットランドだけとりあえず開けるという気運が高まってきました。
 ニュースは空港で寝泊りしているひとたち、港で疲れてるひとたち、をフォーカスし、航空会社のロスをレポートし、なぜ政府は何もしないのか、と批判していました。

 そして水曜日。4月20日、夜10時にイギリスの全部の空港がやっと6日ぶりにオープンしました!
 この気分の軽さは何?いままで、毎日暗くて重くて、この4日間(わたしゃ土・日は働いてないので)疲れがずーっと尾を引いていたのに、開港した!と聞いた途端にうれちぃ~!すっきり。いつ開くのか、このキャンセル、予約しなおし、キャンセル、の繰り返しがいつまで続くのか、先の見えない作業に、ストレスはたまるわ、怒りをどこへぶつけていいのかわからないこともあったのでしょう。これで解決したわけではなく、飛行機に乗れないお客さん全部乗って帰ってくるまで見届けなあかんけど。
 なにせ、空港が開かんことには飛行機が日本からやってこない、っつうことはロンドン発もないっつうことなんです。


映りの悪いうちのテレビからの画像なんで見にくくてすんません。






(上)開港後、初の到着機。尾翼にユニオンジャックの模様が見えるかなあ。

テレビの前で拍手、小躍り。

 南からどんどん開港していく中(スペイン、イタリア南部などなど)イギリスはいっちゃん遅いんじゃあないか、と言われておりました。いくら灰がこわいったって、そこまでしないといけないような状態なんですかぁ?つくづく、旅行業界って、自然とテロに弱いと思います。
 今まで空港閉鎖も全くないわけでなく、あったのは、天候(霧・大雪・嵐の自然被害)、テロ、ストライキの人的災害。でも、6日間のあいだ、まったく飛行機が飛ばず、ってことはなかったから。人生始まって以来の体験ですな。

 風向きが変わって灰の雲が北米・カナダの方へ行ってる(右)

 4月21日(水)。恐れていたが、会社に行くと、忙しさはきっと昨日と同じレベル。でも、100% じゃないとしても飛行機が飛んでいるというだけで、気分はずっといい。ストレス指数も少ないです。このひと、ユーロスター取らなきゃ、このひと、別の日のチェック、もっと近い日程で空きがないかと朝いち、行って、ばしばしばしぃとコンピュータたたき、飛行機飛んでるところは取れるとこがしっと取って、電話したら、空いてたので自分で取りましたとの答え。えらい。仕事減らしてくれてありがとう。
 まだまだ、正常に戻るには時間がかかるし、ずるずる後ろにずれたひとたちは空席がなくて待っていないといけないでしょうけど。

 いまやニュースはいかにイギリスまで戻ってきたか、の体験談特集。ギリシャから船と鉄道を乗り継ぎ、イタリアまできて、タクシーで500ポンドかけてミラノまで行き、また鉄道でフランス北部、あとはフェリー。という3日間がかりの旅行談。9人の子供連れて旅行してる家族もいたよ。いかに、どうやって、いくらお金がかかったか。何千ポンドとかかり、これから保険でどうかできるのか、保険がおりるのか?保険会社も大変。

 あと、ニュースキャスターが交通大臣にかみついてたけど、今オープンするならなんでもっと早くできなかったのか?海軍を派遣してスペインまで行くのはいいけど、積み残しのひともいるし、なんでもっと早く派遣できなかったのか?(海軍がスペイン北部のサンタンデルまで行ったのはつい前日の火曜日のこと)
 BA のトップがテストフライトを出し、問題ない、ということを楯にどうやっても飛行機飛ばすぞと脅しの構え。やっと重い腰をあげた政府の機関。
 大臣は、2-3機のテスト飛行が大丈夫だからと言って、空を開けるわけにはいかなかったが、飛行機製造者や科学者、関係所管と相談のうえ、いまは危険度が少なくなったと判断したのであけた、と言い訳たらたら言っておったが、ほんまかねえ。

 わたしが勝手に思うだけやけど、政府のお歴々には火山灰よりも大事なことがあったのよ。
 それはねえ、5月6日の総選挙!なんでこんなときに選挙やねん、と思うけど、政治家は選挙が大事。なんかイギリスの選挙のときって、なんか起こるのよね。前もなんだったか理由は忘れたけど、トニーブレアのときに選挙の日程を延ばした覚えが。火山灰と選挙ニュースが交互に入るのですわ。選挙準備に忙しくて灰対策なんてどうでもええんちゃうの?って疑りたくなる。

 噴火はまだ続いておるし、灰の様子はからきしわからんし、6日たったあとで開港できるというのなら2日前でも3日前でもよかったんちゃうん?そら、惨事が起こってからでは遅いけど、あまりにも慎重すぎ、というのも???ですねえ。

 お客さんの中には一番機には乗りとうない、と言うひともいましたが。まだまだ短距離はフライトがでなかったり、本来のところにいるはずの機材や乗組員の割り振りに苦労しているようです。各航空会社。

 フランスの北部、カレーからイギリスへのフェリーが出てますが、切符を買うのに3時間待ちだったとか。出エジプト記をもじって、出フランス記とか。

 4月22日 今日はやっと落ち着いたかな。でもあと処理も大変なのよ。払い戻しの手続き、プロテクションで取ってたもののキャンセル、まだ取れないひとの少しでも近い日程を取るため、何回も空席がでてこないか見る、だの。払い戻しだって、各航空会社によってポリシーが違うから、全部読まないといけないし。たとえば 某航空会社の場合、フライトがキャンセルになった場合 1>へ 変更は当該日程から8日から21日以内の間の変更は無料で可。7日以内は不可、22日以降の場合は。。。ああやめてくれ。。。。

 別の航空会社もひとつずつ調べなあかん。
 ともあれ、わたしのお客さんのうちでは、日本以外、遠いところで陸路では帰ってこれん、インドからのひととアメリカからのひとがようやっと明日のフライトに乗れ、戻ってくるのでやれやれ。

4月23日 今日ですが。
 やっと落ち着いてきたかな、って感じ。いい感じ。ほとんど、火山関係ニュースは消えました。やっとこの灰地図見つけました。おお、小そうなっとる。確かに。ほとんどあとかたもない。


 きのうのニュースで、火山関連、また新たな話。豪華客船でスペイン北部からイギリスへ。セレブリティというクルーズ会社の新就航船・エクリスプ(日食という名の)サザンプトン処女航海船上パーティをとりやめ、レスキューに。
2000人の迷える子羊たちがビルバオから夕方サザンプトンへ到着の予定
 これまた Saga 冒険談かな、武勇伝。しかし、考えるねえ。いい宣伝になるやん、クルーズ会社も。どういう選択なのかしら、いいなあ、どういうひとたちが乗れたんや?とうらやましがって、よくよく記事を読んでみたら、イギリス大手のパッケージ会社、トムソンやトーマスクックの旅行に申し込んで帰れなくなっていたひとたちですって。でも、せっかくのサンデッキや、船のレジャー施設を使うひとはいないって。もったいない。

 各航空会社もようやっと、変更・払い戻しの規定を出してきました。Goodwill policy やて。ご好意により、って感じかしら。ふつーならしないけど、特別に、って恩着せがましいよねえ。そら、航空会社も被害を被ってるんやけど、ホテル代や余分な交通費を強いられた乗客のことを一番に考えてほしいね。ライアンエアも政府を相手取り、賠償金ですと。そらねえ、フライト1ポンドとかで売ってたりすると、お詫びの食事代も出ないわなあ。

 続々帰ってきた出張者のみなさんが、ありがとう、ありがとう、よくやってくれた、助けてもらってありがとう、とお礼の言葉に、チョコレートに、ビスケットに、花に。オフィスの机の上はチョコレートだらけです。そう言って感謝されたら仕事した甲斐があるわね。あの苦しかった時期も忘れます。わたしが大変大変とはいえ、当地で足止め食って、どうしようもなかったご本人たちが一番大変だったでしょう。

 しかしこれで終わりではござんせん。
 火山くんがまたいつ灰を吹き上げるかわからんしねえ。絶対、それに備えて巨大扇風機を今から作るべきやわ。思わん??備えあれば憂いなし。

 おち。実は5月の終わりにシチリアのエトナ山に登るんだ(活火山)。この騒ぎの前に煙をはいてる写真も見たけど。。。ま別のネタにしよう。


某航空会社の「爆発セール」
灰はもう落ち着きましただって。爆発に限らず、いつもやってるけどね。
爆発、というのなら、1ペニーとかにしたら?
広告するつもりはないが。。。








2010年4月24日になってしまいましたが。
© Mizuho Kubo , All rights reserved…..…..April, 2010

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